平成30年度 事業報告

平成30年度 一般社団法人佐賀県視覚障害者団体連合会 

事業報告

(自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日)

Ⅰ 30年度事業報告 総括

近年、視覚障害者を取り巻く環境は厳しいものがありますが、私達は差別の無い社会の実現と自立を目指して各種の事業を推進して参りました。

30年度から6年間支援を受けたCSO自動販売機の売上金からの補助が終了したため、運営の資金の逼迫が予想されたことから、会費を2000円から4000円に値上げしましたが、会員の協力と支援の下、例年と変わりない活動を実施することが出来ました。

また、会員が本会の活動をより的確に把握できるよう、これまでの点字版や墨字版に加え、音声版資料の提供にも取り組んでまいりました。さらに、ホームページの充実も図っているところです。

また、会員の親睦を深めることを目的に嘉瀬川ダムと古湯温泉「おんくり」の研修旅行を開催しました。これからもこの取り組みは続けていきたいと思います。

この他30年度の事業の主なものは次の3点です。

第1点目 自由で安全な移動の実現について

①中途視覚障害者を対象に歩行訓練を実施し、歩行技術や誘導ブロック、音響式信号機の活用法を習得することにより社会参加の推進に役立っています。

②同行援護事業では、事業者や従業者の充実を各機関へ要望しているところです。

平成25年度から県が実施する「同行援護従業者養成研修事業」に際しては実施事業者に対して助言や講師紹介などを行っています。

さらに、利用者には同行援護サービスの啓発に努め、利用の推進を図りました。

③視覚障害者の社会参加推進を目指して、ソフト面ではガイドヘルパーの充実や一般社会に向けて視覚障害者の誘導や声掛けなどについて啓発に努めました。ハード面では関係機関に対して地域の視覚障害者団体と連携し、誘導ブロックや音響式信号機等の設置促進を要望しました。こうした取り組みの成果として徐々にではありますが、これまで未設置の地域にも音響式信号機や誘導ブロックの敷設が進んでいます。その他、横断歩道にエスコートゾーンの敷設を見るようになり、公共施設などの多目的トイレにトイレ内音声案内が設置されるようになってきています。

④30年度も全国で発生した災害を教訓に、問題提起された災害時の要援護者対策について会員相互で話し合い、各地域での「災害時要援護者登録」の推進に取り組んでいます。

第2点目 情報格差について

①第68回佐賀県視覚障害者福祉大会において、各市や町が発信している情報を、たとえ対象者が少なくても点字や音声化して、視覚障害者に配布するよう要望しました。佐賀市からは各種情報の音声版の依頼を受け、製作し、佐賀市福祉協会の会員及び佐賀市に在住する視覚障害者にとどけました。また、30年12月に実施された佐賀県知事選挙では佐賀県選挙管理委員会からの依頼を受け、音声版公報の製作を行いました。

②福祉機器展においては、最新の機器を展示・紹介し、その使用法や活用法などについて出展業者からの説明や助言を受けることにより情報入手の方法や日常生活における利便性を図りました。

③視覚障害者が講師となってのICT(情報通信技術)講習会を開催し、視覚障害者にも使える機器などの使用法や情報を提供することで受講者の知識や理解を深める手立てを提供しました。

④補装具・日常生活用具給付事業では、自治体へ地域間格差が少しでも少なくなるように啓発に努めると共に、利用者の意見を各市や町に伝えるよう努力しました。

第3点目 職業的安定と生活権の確保について

①あはき研修会では、「訪問マッサージにおいて役立つリハビリテーションの基礎知識」の演題で、講師に永原学園西九州大学リハビリテーション学部

准教授 古後 晴基 氏の講習会を実施しました。

②平成医療学園グループが国を相手取って起こしている「あはき等法19条違憲訴訟」の裁判では、日本盲人会連合と共に、視覚障害者の職域を守るために運動を継続して行いました。

③無資格業者に対する措置としては、日本盲人会連合、九州盲人会連合会と連携して一般社会の理解を得ると共に、取締りの強化を訴え続けています。

④東洋療法研修試験財団が推進している「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師厚生労働大臣免許保有証」申請者に対して申請手続きの支援を行いました。

⑤県下の高齢者福祉施設におけるマッサージ奉仕活動に対し、助成を実施して社会参加と啓発活動に努めました。

以上3点が30年度の総括ですが、本法人は結成以来60年余、多少の浮き沈みはありましたが、連綿として組織を維持してきました。近年は、障害者に対する理解も進み、行政による助成も手厚くなってはきていますが、草創期における先人たちの苦労は並大抵のものではなかったと思われます。視覚障害者の福祉の増進、生活の安定、社会参加を推進するには本法人の活動は欠かせないものと自負しています。

Ⅱ 事業報告の概要

1.福祉大会開催事業

   県内の視覚障害者が一堂に会し、当面する視覚障害者施策等の諸問題について、各地域の取組みや情報交換・意見交換を行い、行政へ政策提言をし、視覚障害者を取り巻く環境を広く啓発し、視覚障害者の自立と社会参加の拡大を図り、共生社会の実現と福祉の向上を目的として佐賀県視覚障害者福祉大会を開催しました。

第68回佐賀県視覚障害者福祉大会

開催日  平成30年9月9日(日)

場所  佐賀市 メートプラザさが 

内容 

 第1部 式典

 第2部 議事 平成30年度運動方針(案)の説明と承認

     宣言・決議の採択

 第3部 講演

    演題  「盲ろう者とは」

    講師  佐賀県視覚障害者団体連合会

           盲ろう部事務局長  津村 一美 氏

第4部  講談

          出演者及び演目

神田紅塾 塾生 

金印亭 紅之介(藤 志津子)さん 「好色一代男」

金印亭 紅然(矢ヶ部 順子)さん 「姐己のお百」

              司会   野口 絹江さん

参加者 125名

2.奉仕活動(マッサージ)事業

県内の高齢者福祉施設へ各地域の視覚障害者協会が中心となってマッサージの奉仕活動を実施しています。これは地域との交流を深め、社会参加を推進し、併せてあはき技術の向上を図るために役立っています。本会はこの取り組みを財政面から支援するため補助金を交付しました。

対象者  当該市町の高齢者福祉施設入所者

実施団体  佐賀県内各市町の視覚障害者福祉協会

訪問先  県内高齢者福祉施設7箇所

奉仕活動参加者 のべ 41名

補助金 42000円

     内訳  佐賀市視覚障害者福祉協会  3件 18000円

          6月10日 桂寿園、向陽園、つぼみ荘  

         鹿島市視覚障害者福祉協会  2件 12000円

          8月26日 好日の園  

11月4日 療育園 

   唐津市視覚障害者福祉協会  1件  6000円

          4月29日 サリバン

鳥栖市視覚障害者福祉協会  1件  6000円  

          11月10日 ふれあい広場

3.福祉機器展開催事業

視覚障害者の生活や学習、職業を支援するための利便性の高い福祉用具が次々に開発されています。それ等の福祉機器を展示してメーカーより利用法などの説明を受ける場を提供し、視覚障害者の社会生活の質の向上を図ることに寄与することを目的として福祉機器展を開催しました。

第23回視覚障害者福祉機器展

開催日  平成30年11月18日(日)

場所 佐賀県立点字図書館及び社会福祉法人佐賀ライトハウス六星館

内容

視覚障害者用機器の展示、体験他

出展企業など 10社  

来場者数 106名

4.視覚障害者生活行動訓練等事業(県の委託事業)

視覚障害者が生活する上で必要な技術を習得するための行動訓練及び研修会等を実施しました。

(1)講演  

演題  「人をもてなすときの立ち居振る舞い①」

講師  視覚障害生活訓練等指導員・歩行訓練士 南 奈々 氏

日時  平成30年7月29日(日) 

受講者110名 

(2)落語鑑賞

    日時  平成30年10月21日(日)

講師  佐賀大学落語研究会OB会「笑菱会」

   参加者31名

(3)薬の話

    日時  平成30年10月21日(日)

     講師  溝上薬局医大通り店 薬剤師 岩橋篤志 氏

参加者28名

(4)女性部研修

女性部が企画し、県内の視覚障害者を対象として実施しました。

アロマセラピーについて  

平成30年6月17日(日) 

講師:予防医療アロマテラピーサロンViSS

予防医学アロマセラピスト 中尾朱実 氏

        受講者13名

      フラワーアレンジメント

平成30年12月16日(日) 

講師:フラワースタイル「ラズリ」 代表・フローリスト 髙塚保光 氏 

受講者14名

教養講座「人をもてなすときの立ち居振る舞い②」

平成30年12月16日(日)

講師:視覚障害生活訓練等指導員・歩行訓練士 南 奈々 氏

受講者12名 

料理  

平成31年1月13日(日) 

講師:栄養士 久間はるみ 氏

受講者17名

スイーツを作ろう!

        平成31年2月10日(日) 

講師:栄養士 久間はるみ 氏

受講者18名

(5)青年部研修

      青年部が企画し、県内の視覚障害者を対象としてICT機器の操作等の講習を実施しました。

        ICT教室   

平成30年 6月24日(日)

10月14日(日)

12月 2日(日)

平成31年 2月 3日(日)

講師:佐賀県立盲学校教諭 青山修二 氏

同    空地信藏 氏

      佐賀県立点字図書館職員 城島美幸 氏

内容:実務・情報収集・コミュニケーション・趣味などに

おけるICT機器の操作等

受講者 のべ21名

軽スポーツ教室

平成30年11月4日(日)  

講師:佐賀県立盲学校教諭 金丸哲也 氏

  内容:ボウリング

 受講者4名

(6)道路環境調査

  諸事情により十分な調査時間が取れなくなり、現地調査を取りやめて出席者で日頃感じていることなどについて意見交換を行いました。

意見交換で提出されたものは、

①県が毎年実施している事業の「平成30年度交通安全総点検」が伊万里地区で10月に行われ、案内をもらい参加して良かった。

②歩道と共に自転車レーンが設置されているところでは、歩道を自転車が走行することがあり、危険を感じることがある。

③横断歩道直前の歩道のふちに敷設されている点字ブロックが直線ではなく、歩道の縁端部に沿って斜めに敷設されていて、横断歩道を直線で渡ることが出来ずに危険な目にあうことがある。エスコートゾーンの敷設が推進されると良いと思う。

④音響式信号機の音の位置が横断歩道の中央寄りではないために横断歩道から外れてしまい、危険な目に会うことがある。

実施日  平成30年12月9日(日)  

場所   佐賀県立点字図書館 会議室

参加者  10名

5.中途視覚障害者緊急生活行動訓練等事業(県の委託事業)

人生の中途で視覚を失うことのダメージは計り知れないものが有ります。それらの障害を克服するための心のケアと日常生活に必要な技術を身につけ、健全な社会生活を営むことができるように必要な助言、指導、情報提供ならびに日常生活訓練や講習会等を実施しております。

(1)歩行訓練

中途視覚障害者及び視力低下をきたしている県内視覚障害者の希望者に対して歩行訓練、コミュニケーション訓練、ADL訓練を実施しました。

   年間294回  講師:歩行訓練士  南 奈々 氏  

受講者 のべ294名  

(2)点字講習

視覚障害者にとって読み書きの主な手段は点字です。しかし、その技術を習得するのはかなり困難で、丁寧で、きめ細やかな指導と訓練が必要であるため、点字講習会を開催しました。

年間8回(初心者講習1回含む)  

講師:点字技能士  森きみ子 氏  

受講者 のべ52名  

(3)心のケア相談事業 

心のケア相談事業の経験者や障害を克服して充実した人生を送っている体験者の講話を聞きました。併せて個別の相談に応じました。 

講演会  (年1回)

  実施日 平成30年9月9日(日)

講師  佐賀県視覚障害者団体連合会

盲ろう部事務局長  津村一美 氏

演題  「盲ろう者とは」

受講者 95名

個別相談 ①視覚障害リハビリテーション指導員 南 奈々 氏による相談  年24回

②視覚連会長及び佐賀県身体障害者相談員による電話相談と面談   相談件数 15件

6.盲ろう者通訳・介助員養成事業(県の委託事業)

(1)盲ろう者通訳・介助員養成事業

盲ろう者とのコミュニケーションには、高度で専門的な技術が必要で

あり、通訳・介助員の数はまだまだ不足しています。また、盲ろう者向

け通訳・介助員の資格を得るためには佐賀県知事が行う研修の受講が必

要です。盲ろう者の利便性を図るため、本会で佐賀県知事が行う研修を

受託し、盲ろう者向け通訳・介助員を育成し増員を図りました。受託内

容に従い、次の内容で研修を行いました。

科目概要:

  • 身体障害者福祉の概要
  • 盲ろう者へのかかわり方
  • 手話・触手話・点字についての方法及び実技             

講師:国立リハビリテーション学院修了者

点字技能士

全日本ろうあ連盟手話指導者他

対象者:盲ろう者の福祉に理解と熱意のある佐賀県内の一般の方で、手話・点字・音訳・要約筆記・介助員等に従事している方、又は視覚障害者あるいは盲ろう者へのボランティア活動をしている方

養成講座  年8回  受講者のべ84名

1回目  講師  佐賀県盲ろう者友の会

(国立リハビリテーション学院盲ろう者向け通訳介助員養成研修修了者)

  講習  盲ろう福祉入門・概論、通訳・ガイド体験談、疑似体験      

2回目  講師  長崎県盲ろう者友の会、佐賀県盲ろう者友の会(点字技能士)  

講習  盲ろう者の日常生活について①、点字の基礎学習①

3回目  講師  視覚障害者生活支援指導員(歩行訓練士)

講習  視覚障害の理解について、移動介助の実践演習①

4回目  講師  佐賀県盲ろう者友の会(点字技能士)、鹿児島盲ろう者友の会

    講習  点字の基礎学習②、盲ろう者の日常生活について②

5回目  講師  視覚障害者生活支援指導員(歩行訓練士)

    講習  移動介助の実践演習②

6回目  講師  元佐賀県立盲学校教諭、手話指導者講師

     講習  盲学校の現状および教育について、手話の基礎学習①

7回目  講師  佐賀県立大和特別支援学校教諭、手話指導者講師

     講習  聴覚障害の理解について、手話の基礎学習②

8回目  講師  佐賀県盲ろう者友の会

(国立リハビリテーション学院盲ろう者向け通訳介助員養成研修修了者)

      講習  盲ろう者通訳技術の基本、盲ろう者とのコミュニケーション演習

(2)盲ろう者向け通訳・介助員養成講習会指導者養成研修会

当該講習会の講師養成の為、厚労省が実施する「盲ろう者向け通訳・

介助員養成講習会指導者養成研修会」が開催されました。(年1回)

日時  平成30年10月6日~9日(土~火)

場所  戸山サンライズ(東京都新宿区)  

受講者 今年度は対象者なし

(3)フォローアップ研修(年1回)

日時  平成31年2月10日(日)

場所  佐賀県立点字図書館  

受講者 20名

7.盲ろう者通訳・介助員派遣事業(県の委託事業)

「盲」と「ろう」の重複障害者のコミュニケーションを支援して社会参加を推進するため、盲ろう者通訳・介助員の派遣手続きの支援を行いました。

対象者  佐賀県内盲ろう者

利用回数  のべ100回の派遣手続き

利用内容(支援内容)   

買い物等の日常の用事の同行

会話及び相談の通訳

病院などの手続きの支援・医療受診における通訳

役所の手続きの支援

各種行事に際しての参加同行

代筆及び読み書き等

8.第50回九州盲女性研修会

九州盲人会連合会加盟団体の女性部の代表者並びに関係者が一堂に会し、

視覚障害者とりわけ盲女性を取り巻く諸問題について討議学習し、情報交

換を行い、各地域での女性部の飛躍を目指すことを目的として開催しまし

た。

開催日  平成30年7月29日(日)・30日(月)

会場   佐賀市 四季彩ホテル「千代田館」他

参加者  九州盲人会連合会加盟団体の盲女性部・関係者

約110名

内容 

第1日目 

研修会 

第1部 講演 

演題「人をもてなすときの立ち居振る舞い」

講師 視覚障害者リハビリテーション指導員・歩行訓練士

南 奈々 氏

第2部 レポート発表、意見交換

レポートテーマ

「日頃差別を受けたことがありますか?感じたことがありますか?」

部長会議

第2日目

佐賀維新博記念館見学、佐賀バルーンミュージアム見学

9.音声版製作事業

視覚障害者の中には点字の読めない人も多いため、佐賀県内の市や町が発行する広報類を市や町の委託を受けてCDに録音して、委託元の市や町に居住する視覚障害者の希望者に配布しました。

  委託元  佐賀市

市報さが 

市報さが選挙特集号

さが市議会だより など

委託元  鳥栖市

市報とす 

  委託元  佐賀県

佐賀県知事選挙公報

10.日用品販売事業

視覚障害者の利便性のために日用品の購入及び手続きの支援を行いました。視覚障害者は日用品の買い物にも不便な人が多いので、日常必要な盲人用具や点字用紙等の一括購入を行い、希望者に販売することにより視覚障害者の日常の利便性を図りました。

11.研修旅行

会員の知識を深めると共に、会の在り方などについて意見交換を行い、

会員相互の親睦を図ることを目的に実施しました。

開催日  平成30年10月7日(日)

場所  佐賀市の古湯温泉「おんくり」、嘉瀬川ダム、道の駅「

しゃくなげ」

参加者  17名(付き添い含む)

内容  

古湯温泉「おんくり」にて視覚連の活動についての説明と

意見交換、会食・休憩。嘉瀬川ダム散策、道の駅「しゃくなげ」

にて買い物など。

12.各種大会への参加

(1)第71回全国盲人福祉大会

日時  平成30年6月11日~13日(月~水)

場所  東京都

参加者 2名

(2)第71回九州盲人福祉大会

日時  平成31年2月17日(日)・18日(月)

場所  北九州市 

参加者 13名

13.各種会議

(1)総会   通常総会   平成30年5月27日(日)

平成31年3月24日(日)

臨時総会  平成30年12月9日(日)

(2)理事会  通常理事会 平成30年5月13日(日)

                  平成31年3月10日(日)                      

            臨時理事会 平成30年11月25日(日)

(3)監査  平成30年5月11日(金)

(4)第68回佐賀県視覚障害者福祉大会準備委員会

平成30年7月8日(日)

平成30年8月26日(日)

(5)日盲連評議員会及び九盲連理事会