令和4年度 一般社団法人佐賀県視覚障害者団体連合会 事業報告
(自 令和4年4月1日 至 令和5年3月31日)
Ⅰ 令和4年度事業報告 総括
障害者差別解消法や読書バリアフリー法の施行を受け、県においても様々な取り組みが行われてきましたが、現実には多くの課題が山積しています。加えて、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言や蔓延防止等措置などにより福祉サービスの提供が十分に受けられなかったり、解雇や開業者の経営の悪化など、私たちを取り巻く環境は非常に厳しい状況となっています。そのような中であるからこそ、私たちは障害者の生活と権利を守ることを基本理念に、社会の一員として積極的に社会活動に参加するとともに、福祉の増進を目的とした各種の事業を実施して参りました。
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から実施が困難な事業もありましたが、令和4年度はこれまでの活動をできる限り継続しながら、皆様への情報提供にも力を注いでまいりました。各種機関への働きかけを行い、JRとの意見交換を実施するなど私たちが日ごろ抱えている不安や困難の改善を図る活動も実施して参りました。
令和元年度に着工された点字図書館の現地建て替えも予定通り完了し、令和4年4月1日から「佐賀県立視覚障害者情報・交流センター あい さが」として新たなスタートを切りました。今後の事業展開が楽しみです。
また、令和6年度に実施される「全国障害者スポーツ大会」に向けた競技力向上や審判員養成を目的に「九州グランドソフトボール選手権大会」を実施したり、選手発掘のために「フライングディスク教室」を開催しました。
この他にも様々な事業を実施して参りましたが、近年の本会の活動への賛同者の減少は顕著なものがあります。私たちはこの事実にしっかりと向き合い、反省すべき点や是正すべき点を整理しながら、何のために本会が存在するのかを今一度認識しなおす必要があります。
更に、視覚障害者の福祉の増進、生活の安定、社会参加を推進するには今何が必要なのかを的確に把握し、会員一人一人の代弁者として活動を展開していく必要があると感じております。本法人は設立から70年以上が経ちます。先人たちの苦労に敬意を払いながら、時代の変化に取り残されることの無いよう、その責任を果たす努力を続けて行きます。
Ⅱ 事業報告の概要
1.福祉大会開催事業
県内の視覚障害者や支援者等が一堂に会し、私たちを取り巻く環境を広く知ってもらうとともに、視覚障害者の自立と社会参加の拡大を図り、差別の無い共生社会の実現と福祉の向上を目指すことを目的に、佐賀県視覚障害者福祉大会を開催する。大会では、参加者が直面している諸問題などについて情報交換を行い、相互の交流を促進することを目指す。
なお、一昨年度および昨年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一堂に会しての大会を開催出来なかったことから、今年度大会を節目の第70回目として開催した。
第70回記念佐賀県視覚障害者福祉大会
開催日 令和4年9月4日(日)
場所 佐賀県立視覚障害者情報・交流センター あい さが
ハイブリット方式
内容
オープニングアトラクション
第一部 式典
第二部 議事 令和4年度運動方針の説明及び承認
宣言及び決議の採択
第三部 講演
演題 「中央情勢報告及び日視連の今後について」
講師 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合
会長 竹下 義樹 氏
第四部 意見交換会
会場参加者のみでの意見交換会だが、Zoom配信も行った。
参加者 49名(会場参加42名、Zoom参加7名)
2.奉仕活動(マッサージ)事業
新型コロナウイルス感染拡大防止のために中止
3.福祉機器展開催事業
視覚障害者の日常生活や学習、就労を支援する様々な福祉機器等に実際に触れたり、利用法などの説明を受ける場を提供することで、視覚障害者の生活の質の向上を図ることを目的に福祉機器展を開催した。
第26回佐賀県視覚障害者福祉機器展
開催日 令和4年12月18日(日)
場所 佐賀県立視覚障害者情報・交流センター あい さが
内容
博物館展示、視覚障害者用機器の展示、体験他
出展企業など 9社
来場者数 88名
4.視覚障害者生活行動訓練等事業(県からの委託事業)
視覚障害者が生活する上で必要な技術を習得するための行動訓練および研
修会等を実施しました。
(1)みんなで考える困りごと講座
いざというときに備えよう!普段の心構えと保険編
日時:令和5年3月25日(土)
場所:佐賀県立視覚障害者情報・交流センター あい さが
講師:歩行訓練士・社会福祉士 西村 亜希子 氏
受講者3名
(2)女性部研修
女性部が企画し、県内の視覚障害者の女性を対象として実施しました。
災害に備えて
日時:令和4年5月22日(日)
講師:佐賀市危機管理防災課職員
受講者12名
家計相談支援事業について
日時:令和4年6月26日(日)
講師:グリーンコープ生活再生相談室責任者 本多 輝美 氏
受講者8名
終活セミナー
日時:令和4年10月30日(日)
講師:株式会社佐賀美石
受講者17名
お茶の美味しい飲み方
日時:令和4年11月20日(日)
講師:嬉野茶業青年会 田中 将也 氏
受講者13名
見えない・見えにくい人が使いやすい商品の紹介と使いこなしている人の話を聞こう
日時:令和5年1月22日(日)
講師:視覚障害生活訓練等指導員・歩行訓練士 南 奈々 氏
受講者14名
スカーフやマフラーを用いたおしゃれな装い
日時:令和5年2月12日(日)
講師:パーソナルカラーアナリスト 櫛田 敦子 氏
受講者6名
(3)青年部研修
青年部が企画し、県内の視覚障害者を対象としてICT機器の操作等の講習を実施しました。
ICT教室
日時:令和4年7月31日(日)
9月11日(日)
11月13日(日)
令和5年3月26日(日)
講師:佐賀県立盲学校教諭 青山 修二 氏
同 空地 信藏 氏
佐賀ライトハウス六星館職員 城島 美幸 氏
内容:実務・情報収集・コミュニケーション・趣味など
におけるICT機器の操作等
受講者 のべ16名
軽スポーツ教室
日時:令和5年3月19日(日)
講師:山下 千代子 氏
内容:ボウリング
受講者8名
(4)道路環境調査
日常生活の気になる場所を役員がガイドヘルパーと共に点検し、
その情報を会員へ発信。
実施日 令和4年12月11日
場所 佐賀駅周辺
参加者 6名
5.中途視覚障害者緊急生活行動訓練等事業(県からの委託事業)
人生の中途で視覚を失うことのダメージは計り知れないものが有ります。それらの障害を克服するための心のケアと日常生活に必要な技術を身につけ、健全な社会生活を営むことができるように必要な助言、指導、情報提供ならびに日常生活訓練や講習会などを実施しております。
(1)歩行訓練
中途視覚障害者および視力低下をきたしている県内視覚障害者の希望者に対して歩行訓練、コミュニケーション訓練、ADL訓練を実施しました。
年間298回
講師:歩行訓練士 南 奈々 氏
受講者 :のべ298名
(2)点字講習
視覚障害者にとっての読み書きの主な手段は点字です。しかし、その技術を習得するのはかなり困難で丁寧で、きめ細やかな指導と訓練が必要であるため、点字講習会を開催しました。
年間7回
講師:佐賀県立盲学校講師 草野 洋二 氏
受講者 :のべ21名
6.盲ろう者向け通訳・介助員養成事業(県からの委託事業)
(1)盲ろう者向け通訳・介助員養成事業
盲ろう者とのコミュニケーションには、高度で専門的な技術が必要で
あり、通訳・介助員の数はまだまだ不足しております。また、盲ろう者
向け通訳・介助員の資格を得るためには、佐賀県知事が行う研修の受講
が必要です。盲ろう者の利便性を図るため、本会で佐賀県知事が行う研
修を受託し、盲ろう者向け通訳・介助員を育成し増員を図りました。
受託内容に従い、次の内容で研修を行いました。
科目概要:
- 身体障害者福祉の概要
- 盲ろう者へのかかわり方
- 手話・触手話・点字についての方法および実技
講師:国立リハビリテーション学院修了者
点字技能士
全日本ろうあ連盟手話指導者他
対象者:盲ろう者の福祉に理解と熱意のある佐賀県内の一般の方で、手話・点字・音訳・要約筆記・介助員等に従事している方、又は視覚障害者あるいは盲ろう者へのボランティア活動をしている方
養成講座 年8回 受講者:のべ88名
1回目 講師 佐賀県盲ろう者友の会 津村一美 氏、古田悦子 氏
(国立リハビリテーション学院盲ろう者向け通訳介助員養成研修修了者)
講義内容 通訳介助者の心構え、盲ろう者について、
盲ろう福祉入門・概論、通訳・介助者体験談および疑似体験
2回目 講師 視覚障害者生活訓練等指導員・歩行訓練士 南 奈々 氏
講義内容 通訳介助の実践演習①
3回目 講師 長崎県盲ろう者友の会 会長 古川幸枝 氏、
元佐賀県立ろう学校教諭 平江 潔 氏
講義内容 盲ろう者の生の声を聞く① 日常生活について、
ろう学校の現状および教育について
4回目 講師 視覚障害者生活訓練等指導員・歩行訓練士 南 奈々 氏
講義内容 通訳介助の実戦演習②
5回目 講師 点字技能士 竹田壽和 氏
講義内容 点字の基礎学習
6回目 講師 手話指導者 平川信吾 氏、
鹿児島盲ろう者友の会 会長 林美喜子 氏
講義内容 手話の基礎学習①、
盲ろう者の生の声を聞く② 日常生活について
7回目 講師 佐賀県立盲学校教諭 空地信藏 氏、
手話指導者 平川信吾 氏
講義内容 盲学校の現状および教育について、
手話の基礎学習②
8回目 講師 佐賀県盲ろう者友の会 藤澤恵子 氏、龍 正人 氏
(国立リハビリテーション学院盲ろう者向け通訳介助員養成研修修了者)
講義内容 盲ろう者とのコミュニケーション演習、
盲ろう者通訳技術の基本
(2)盲ろう者向け通訳・介助員養成講習会指導者養成研修会
当該講習会の講師養成の為、厚労省が実施する「盲ろう者向け通訳・
介助員養成講習会指導者養成研修会」が開催されました。(年1回)
日時 令和5年1月21日、28日、2月11日、3月4日(計4日間)
場所 オンライン開催
受講者 なし
(3)フォローアップ研修(年1回)
日時 令和4年11月27日(日)
場所 佐賀市市民活動プラザ
講師 熊本盲ろう者友の会夢の会 理事 前田 光治 氏
受講者 25名
7.盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業(県からの委託事業)
「盲」と「ろう」の重複障害者のコミュニケーションを支援して社会参加を推進するため、盲ろう者向け通訳・介助員の派遣手続きの支援を行いました。
対象者 佐賀県内盲ろう者
利用回数 全日派遣50回、半日派遣74回
利用内容(支援内容)
買い物等の日常の用事の同行
会話及び相談の通訳
病院などの手続きの支援・医療受診における通訳
役所の手続きの支援
各種行事に際しての参加同行
代筆及び読み書き等
8.音声版製作事業
視覚障害者の中には点字の読めない人も多いため、佐賀県内の市や町が発
行する広報類を市や町の委託を受けてCDに録音して、委託者の市や町に居
住する視覚障害者の希望者に配布しました。
委託者
佐賀市:市報さが さが市議会だより他 各種お知らせ等
鳥栖市:市報とす
神埼市:市報かんざき
佐賀県:参議院通常選挙公報、佐賀県知事選挙公報、
さがすたいるフェス案内等
9.日用品販売事業
視覚障害者の利便性のために日用品の購入及び手続きの支援を行いました。視覚障害者は日用品の買い物にも不便な人が多いので、日常必要な盲人用具や点字用紙等の一括購入を行い、希望者に販売することにより視覚障害者の日常の利便性を図りました。
10.第76回九州盲人福祉大会(佐賀県大会)
九州各県の視覚障害者および支援者が一堂に会し、様々な問題などについて情報交換を行い、相互の交流を図ることを目的に大会を開催した。
開催日:令和5年2月19日(日)
場所 佐賀県立視覚障害者情報・交流センター あい さが
内容
監査会、理事会、開会式、代議員総会、
記念講演(Zoom配信あり)
講師 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合
会長 竹下 義樹 氏
演題 「中央情勢報告」
閉会式
参加者 58名(会場参加48名、Zoom参加10名)
11.視覚連文集「あゆみ」
点字版70部、音声版320枚を作成し、すみ字冊子は印刷業者へ
400部発注した。
12.ロービジョンケア講演会
日時 令和5年1月15日(日)
場所 佐賀県立視覚障害者情報・交流センター あい さが
講師 北九州市立総合療育センター 眼科部長 高橋 広 氏
同 視覚障害生活訓練等指導者(歩行訓練士)久保 恵子 氏
座長 佐賀県眼科医会 会長 下河辺 和人 氏
参加者 99名(会場参加47名、Zoom参加52名)
13.令和4年度九州グランドソフトボール選手権大会(むつごろう杯)
主催者変更のため開催しなかった。
14.各種大会への参加
(1)第75回全国視覚障害者福祉大会 リアル・オンライン開催
日時 令和4年5月31日(火)・6月1日(水)
場所 名古屋市
参加者 1名
12.各種会議
(1)総会 通常総会 令和4年6月19日(日)
令和5年3月26日(日)
臨時総会 令和4年10月9日(日)
令和4年12月11日(日)
(2)理事会 通常理事会 令和4年5月29日(日)
令和5年3月5日(日)パート1
令和5年3月12日(日)パート2
臨時理事会 令和4年9月25日(日)
令和4年11月27日(日)
(3)監査 令和4年5月19日(木)
(4)九盲連理事会 令和4年12月4日(日)
令和5年2月19日(日)